ワンポイントアドバイス

全身的副作用を起こすのは、内服・注射ステロイドホルモン剤です。
鼻炎吸入用ステロイド剤や喘息吸入用ステロイド剤は心配ご無用です。
アトピー性皮膚炎に対して使用するステロイド軟こうも専門家が注意して処方する限り、
内服・注射ステロイドホルモン剤に比較するほどの危険性はまったく指摘できません。

アトピー性皮膚炎の治療におけるステロイド恐怖症とも言える国民の反応は、
医師の説明不足とマスコミの無責任きわまる過剰報道が原因だと思います。

また、前述のような心(あるいは知識)無き医師が、アトピー性皮膚炎患者さんに、
ステロイド全身投与(プレドニン内服・ケナコルト注射)を行って発症させたステロイドの副作用を、
ステロイド軟こうが原因と誤解している節もございます。
「避けるべき注射治療」は・・・・数週間作用する副腎皮質ホルモンのデポ剤注射療法です。

  • 一回注射をすると3~4週間効果が持続し、非常によく効く。鼻炎・結膜炎・喘息症状が全く無くなってしまう。
  • 注射の内容(薬品名)を尋ねても、医師が説明してくれない、「特別に作った薬なので教えられない」とか、外国から輸入した薬だ、等々の返事で明確な回答がない。ちなみに薬(ステロイド)の製品名はケナコルトA、デポメドロール。私の患者さんが電話で何を注射されたのか問い合わせしたら、企業秘密なので教えられないと言われたケースさえございます。
  • 保険がきかないとの事で、高額(1~2万円所も)の医療費を自費請求される。この注射をしたとしても健康保険の料金は初診料を含めても3000~4000円程度の筈だ。

以上のどれかに当てはまる場合は避けるべきです。
インフォームドコンセントを拒否する医療は違法だと私は常日頃から考えています。

上記のステロイド薬は1回注射すると、注射部位からステロイドがゆっくり継続して体内へ放出され、
3~4週間連続作用し続けるので鼻炎症状が長期間抑えられるのです。

しかし、たとえば注射5日目に副作用が出たとしたら・・・この薬は一度注射したら体の外に取り除くことができないので、
副作用は持続し、余病は悪化してしまうことになります。
またこういう時にステロイドホルモンの効果を遮断する薬も存在しません。
なすがまま、薬が体から消えていくのを待つのみです。

ステロイドの副作用として糖尿病誘発、感染抵抗力低下、肥満、高血圧、骨粗しょう症などは有名です。
この系統の薬を連用することにより、ステロイド依存症が出現するという、臨床医学に重要な副作用は、皆さんすでにご存知でしょう。

命に別状の無いアレルギー性鼻炎に使う薬じゃありませんよね。
これが無きゃ致命的な喘息患者さんの為のお薬ですよ。

一年中、呼吸困難が酷くて入院しがちな重症の喘息患者さんにとっても、最後のオプション。
できれば喘息患者さんにだって、副作用を考えると使いたくない薬です。