◆レーザー手術
花粉症のレーザー手術は、鼻の穴に直接レーザー光線を照射して、鼻の粘膜をやんわりと焼きます。
すると、花粉(アレルゲン)が入ってきても、粘膜の過剰な反応を抑えることができ、結果、鼻水、鼻づまりなどの症状を押さえる効果が期待できるのです。
レーザーの照射は両鼻で20分もあれば終了します。
レーザーが照射されても痛みや出血もほとんどありませんが、鼻の中は、レーザー光線に焼かれ、しばらくの間は鼻の粘膜がかさぶたのような状態になり、鼻炎や鼻づまりの症状が強くなることもあります。
しかし2週間程度でアレルギー反応の起きにくい粘膜が再生され、それ以降、花粉などの抗原(アレルゲン)が入ってきても、この粘膜上でアレルギー反応を起こすことはなくなり、花粉症の症状がなくなるというわけです。
レーザー手術後はすぐに帰宅でき、入院の必要もなく、副作用の心配もほとんどありません。理想的には2週間に1度、4~8回照射した方がより効果があがるようです。
花粉症の場合、症状が出る前に手術した方が効果が高く、花粉の飛散が始まり、発症してからでは、手術が受けられないこともあるので注意しましょう。
またレーザー治療は、局所(鼻の粘膜)だけなので、花粉症そのものが完治するわけではなく、個人差があるので、確実な治療法ではありません。
また半年~2年経つともとの粘膜に再生し、効果が薄れてくることも否めませんが、その場合、再照射をすればほとんど大丈夫なようです。
いずれにしろ、金銭がかかります。

◆減感作治療
減感作療法は即効性がなく、1~3年の長期に渡って月に数度も注射しなければならず、根気が必要で、治療を行える医師や病院が限定されるなどの難点が多く、日本では花粉症の治療法として用いている方が少ないのが現実です。
通院することが困難な会社勤めの人や、注射をいやがる子供など、途中で減感作療法を断念してしまうケースも少なくありませんが、成功すればそれ以降は薬なしの生活が期待できるという点で注目されている治療法でもあります。
このように減感作療法は、注射を受けるために月に数度も通院しなければならないという欠点がありました。
治療終了までに100回以上も注射が必要ともいわれています。そこでこれらの問題が解決されたのがスリット減感作療法です。
スリット減感作療法は注射ではなく、抗原(アレルゲン)などの抗原エキス(花粉エキスなど)を2分間程度口に含むだけでよいのです。
この方法は舌下投与と呼ばれるため、“舌下減感作療法”ともいわれるようになりました。
これらは注射の痛みはないうえ、処方された抗原エキスの服用は自宅で行えるので、通院の回数が大幅に減らせることも利点です。
いままでの注射による減感作療法では、まれにショック症状などの副作用が起こることもありましたが、この舌下減感作療法の場合、副作用が少ないことが最大の利点といっても良いかもしれません。
いずれにしても日本では減感作療法を行っている病院や医師はまだ少なく、どこの病院でも受けられるという治療ではありません。
ちなみにアメリカでは花粉症はもちろん、ダニなどのアレルギー治療でも広く減感作療法は行われています。