Q1 花粉症のルーツは?

花粉が原因となるアレルギーが花粉症ですが、欧米では今なお、枯草熱(hay fever)と呼ぶことが多いようです。
イギリスのBostockが最初にこの病気を記載した当時は、牧草の『枯草』と接触したため発病したと考えられ、枯草熱と名付けられたからです。

Q2 花粉症と風邪の症状の違いは?

花粉症と風邪は同じような症状が現れるので、勘違いすることがあります。
風邪はウィルスによる感染症の一種で、発熱とのどの痛みを伴います。また、水ばなは、数日で黄色い鼻汁に変わります。一方、花粉症は熱がでることはほとんどありません。
また、くしゃみの回数も手がかりのひとつとなります。いきなり5回、6回もくしゃみが続く時は、花粉症の可能性があります。
さらに、このような眼・鼻の症状に加え、のどのかゆみがあれば、花粉症かもしれません。医師にみてもらいましょう。

Q3 花粉症の症状がでるのは春先だけ?原因植物は?

春に起こるスギ・ヒノキ花粉症はよく知られていますが、スギ・ヒノキ以外にも多くの種類の植物が花粉症の原因となります。
スギ以外の原因植物
春 : シラカバ、ハンノキ
初夏:カモガヤなどのイネ科植物
秋 : ブタクサ、ヨモギなどのキク科植物、カナムグラなどのクワ科植物

花粉の飛散する季節は、植物によって、また花粉症は原因植物によって症状の現れる時期が違います。
つまり、春だけでなく、夏や秋の花粉症があります。
春の花粉症は、木の花粉のシーズンですが、夏や秋の花粉症は、身近にある雑草の花粉のシーズンです。
雑草による花粉症は、スギやヒノキによる花粉症とメカニズムは同じため、治療も同様に行われます。

Q4 花粉症って日本だけ?

日本ではスギが花粉症の原因として有名ですが、アメリカでは主に『ブタクサ』花粉症、ヨーロッパでは主に『イネ科』花粉症が有名です。
ブタクサは「マッカーサーの置き土産」と呼ばれるように日本には第2次世界大戦後に米国から帰化した植物といわれています。又、カモガヤも明治時代日本に広がりました。

Q5 花粉症はどうしてこんなに増加しているの?

花粉症といえば、今や国民病とまでいわれていますが、意外なことに、花粉症は戦後に初めて報告された新しい病気です。日本では、1960年代からわずか40年間で花粉症(特にスギ花粉症)が激増しました。
スギ花粉量の増加

戦後に大量植林されたスギが伐採されずに残り、開花適齢期をむかえています。さらに、地球温暖化の影響も受け、春のスギ花粉飛散量が増えています。
排気ガス・大気汚染

排気ガスなどで汚染された大気中の多くの微粒子が抗体を産生しやすくし、花粉症の発症を促進します。また、舗装道路の増加に伴い一度地面に落ちた花粉が再び舞い散ることも原因として考えられます。
食環境の変化・不規則な生活リズム

高タンパクや高脂肪の食生活を続けていたり、不規則な生活リズムやストレスの多い生活なども、アレルギーを起こしやすくしています。
住宅環境の変化

住宅やオフィスの近代化に伴い、通気性の少ないダニ・カビの温床を作り、アレルギーを起こしやすくしています。

Q6 花粉症はどうやって診断するの?

受診時には、本当に花粉症なのか、そうであれば、そのアレルゲンは何かを調べ、花粉症の原因をさぐります。診断方法にはいくつかの種類があります。

皮膚反応検査
皮膚にスギ、ダニ、ヨモギ、イネなど原因と考えられるアレルゲンのエキスで刺激し、その反応をみます。
15分ほどで反応が出て、皮膚が赤く大きくはれれば、それがアレルゲンとわかります。
血中IgE検査
血液検査で原因となるアレルゲンに対する抗体を明らかにします。

鼻粘膜誘発テスト
原因抗原を鼻の粘膜につけるとくしゃみ、鼻みず、鼻づまりの反応がでます。

Q7 減感作療法(げんかんさりょうほう)はどのような治療法ですか?

原因となっている抗原を少量ずつ増やしながら注射していく方法です。
アレルゲンに対する反応を弱めていく方法ですので、長い期間、2~3年の治療が必要ですが、治療の中で唯一、アレルギーを治すことができる方法であり、約70%に有効と考えられています。症状の強い人で定期的な通院が可能であれば、専門医に相談してみましょう。

Q8 花粉症を完全に治す治療法はありますか?

減感作療法以外に現在、花粉症を完全に治す治療法はありません。花粉症などのアレルギーは、過敏性によって起こる病気で、症状が悪化してからでは薬が効きづらくなります。できるだけ、症状が軽いうちから薬を使い始めると高い効果が期待できます。
そのため、『初期療法』が重要視されています。

Q9 妊娠中にアレルギー性鼻炎と診断されたのですが。。。

妊娠中は、アレルギー性鼻炎の症状が悪くなることがあります。ただし、胎児に与える影響を考えて治療は慎重にならなければなりません。
妊娠4ヶ月の半ばまでは、原則として薬物を用いることは避けた方が安全です。

妊婦に対する治療のポイント
・まず、鼻への温熱療法、入浴、むしタオル、マスクによる薬を使わない方法を試みる。
・妊娠4ヶ月以後で、どうしても薬が必要な場合は、
*鼻用ケミカルメディエーター遊離抑制薬
*鼻用局所ステロイド薬
など局所用薬を最小量で用いる。
Q10 小児アレルギー性鼻炎の治療のポイントを教えていただきたいのですが。。。

小児は成人と異なる特徴を持ちます。男児に多く、アトピー性皮膚炎や喘息の合併率が高いのが特徴です。喘息やアトピー性皮膚炎に比べて低率ですが、自然治癒傾向もみられます。鼻のかゆみ、鼻閉が強い為、鼻こすりや顔面運動、顔面の変化などがみられます。
小児アレルギー性鼻炎は一般に難治で治療に長期間要しますので、漫然とした頻繁な通院は避けるようにしてください。かぜ症候群によるアレルギー性鼻炎の悪化も考えられます。
下記に各ポイントをお示しします。医師とご両親とのコミュニケーションを大切にし、患者さんの治療を進めてください。

薬物治療
薬物治療は成人に準じますが、小児適応が認められている抗アレルギー薬はあまり多くありません。薬剤の投与量は、小~中学生は成人の半量が基準となります。
鼻用ステロイドは、成人では副作用がほとんどみられませんが、小児では慎重に投与します。ステロイド薬内服は極力避けて下さい。

手術療法
鼻腔内通気の改善のために行う手術は小学生以上とします。最近ではCO2レーザーなどを使用したレーザー下鼻甲介手術が小児例にも行われています。

日常生活
小児ではダニアレルギーが多いので、ダニ駆除、回避を指導し、またペットに近づかないようにも気をつけてください。

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